【基礎知識】離型剤とは

離型剤とは、金型から成型品を外しやすくするための塗布剤や添加物を指します。型に塗布するタイプの離型剤を「外部剥離型剤」、材料に混ぜるタイプの離型剤を「内部剥離型剤」と呼びます。

離型剤がないと、成形品を型から外す際に材料が型に張り付いてしまい、こまめなクリーニングの必要が出てきます。クリーニング回数が増えると、「生産スピードが落ちる」「機械が故障しやすくなる」「金型の寿命が短くなる」などのトラブルにつながります。

成分はワックス系・シリコーン系・フッ素系の3種類があります。

ワックス系

塗装性が高く、安価なので広く使用されている反面、膜厚が厚く、金型が汚れやすい。離型性能にも劣るため、成形時に頻繁に塗布し直す必要がある。

シリコーン系

膜厚は薄く、離型性能が高いため、広く使用されている反面、成形品の転写が多く、塗料や接着剤への悪影響が出やすい。

フッ素系

膜厚が薄く、成形品への転写も少なく、離型性・持続性・連続離型性に優れている。金型のクリーニングの回数を減らすことで、金型の寿命を伸ばしつつ、生産性を維持できる。ただし、潤滑性がないため、潤滑性が必要な場合にはシリコンを添加して使われる。

【フッ素系】AGCセイミケミカル株式会社「モールドスパット®」

モールドスパットは、AGCセイミケミカル株式会社が商標登録しているフッ素系の離型剤です。一部製品にシリコーンを含み、シリコン配合タイプ・ノンシリコンタイプを選べます。水系・溶剤系の2タイプがあり、不引火品・スプレー（エアゾール）タイプなど用途に合せて選択が可能。

熱可塑性樹脂・熱硬化性樹脂・ウレタン・一般的なゴム・シリコーンゴム・フッ素ゴムなどに幅広く使えます。

モールドスパットの種類【水系】

モールドスパットの種類【溶剤系】

モールドスパットの種類【エアゾール】

【フッ素系】ダイキン工業株式会社「ダイフリー」

ダイフリーはダイキン工業が製造するフッ素系の離型剤です。一部製品にシリコーンを含み、シリコン配合タイプ・ノンシリコンタイプが選択可能。水系・溶剤系の2タイプがあり、スプレー・エアゾール・刷毛塗りを選べ、内部剥離タイプもあります。PFOAやオゾン破壊物質などの規制物質は不使用。

熱可塑性樹脂・熱硬化性樹脂・一般的なゴム・シリコーンゴム・プラスチック・電子電機部品などに幅広く使えます。

ダイフリーの種類【水系】※従来品の代替製品

ダイフリーの種類【溶剤系】※従来品の代替製品

ダイフリーの種類【エアゾール】※従来品の代替製品

ダイフリーの種類【内部離型】※従来品の代替製品

モールドスパット・ダイフリーの代替品なら「モールドフリー」もチェック！

株式会社フロロテクノロジーが提供する離型性に優れた「モールドフリー」も検討してみました。

フロロテクノロジーは、各種メディアにも取り上げられているフッ素化学品を開発・製造する会社のようです。フッ素化合物の合成技術を活かし、超撥水性能を持つ撥水剤や防汚性に優れたコーティング剤、そして高性能離型剤「モールドフリー」を提供しています。

モールドフリーは高離型性で転写が少なく、PFOS・PFOA・PFHxSといった規制物質は一切不使用。常温で乾燥するので、現場でも気軽に塗布できます。

フロロテクノロジーなら、自社の希望する仕様の製品や、他社で製造中止になった製品と同じ化学構造の製品も製造可能かと思います。モールドフリーの仕様や技術的な相談もできるので、離型剤選びの際は一度相談してみるとよいでしょう。